1985年ハドソンから発売されたファミコン用ソフト「バンゲリングベイ」。
世間では、当時遊び方がいまいち分からない子どもたちが多く…と綴られてる事が多いのだがはたしてそうか? 結論を言うと、そんな事はないということにしておく。この点は色々あるが『必ずしも子どもたちが操作もわからずに話題にもならなかったクソゲーではない』ことだけはハッキリ言っとく。むしろ全くの逆です。
当時ボクの家では、親父も遊ぶということでファミコンが家庭に導入された。初めて購入したゲームが「ギャラクシアン」。親父が仕事が休みの日は二人で一緒に遊び到達面数を競い合ったのは良い思い出。
時は過ぎ、テレビのCMや当時の子供向け雑誌で「スターフォース」が取り上げられます。親父もそろそろ次のゲームもほしいなということで、家族とショッピングにでかけた先で見つけた一つのゲーム。親父とボクの視線がピッタリ一致したゲームがこの「バンゲリングベイ」だったわけです。え?ヘンですか?ではもう一度パッケージを見てみてください。
なんというかミステリアスなんだけど、戦車に夕日をバックのヘリです。しかもバンケリングです(意味不明w)。当時の男の子ってのは機械モノやミリタリーモノであれば興奮する世代でしたからね。仕方がないんです。
というわけで親父とともに「面白そうだからこれにしよう!」とボクの「スターフォース」と一緒に購入。
さてここからですが、早速意気揚々と「スターフォース」を遊びまくり、夕飯が終わったゆったりタイムに親父の出番。いよいよ開封された「バンゲリングベイ」がファミコンに挿入されるわけです。
ワクワクしていましたが、親父のプレイスタイルはまず電源を入れてそのままデモ画面を何周かさせて凝視し、そのまま説明書をゆっくり読んでからスタートするというスタイルでした。
僕らみたいに、とりあえず差し込んでスタート!って勢いではなくさすが大人だなという感じですかね。
「とりあえず風呂に入ってこい!」
という父の命令で風呂に入り、出てきて親父が一言。
「これは面白いぞ!」
なんとまあ風呂に入っている間に説明書を熟読し、そのままゲームスタートから没頭していたみたいですね。
この言葉、捏造ではありません。その言葉にも理由がありました。
「お前もチャッチャカチャッチャカ撃ちまくるだけのゲームよりも、こんなゲームをせんとなぁw」と。
僕も最初はその意味が全くわかりませんでした。
ある日、親父がいない間に「バンゲリングベイ」を差し込んで、わからないままにプレイしてみました。結果はよくネットでもある通り、イマイチよくわかりませんでした。
自機のヘリがなんとなく離陸したものの、着陸できないんですね。なんとなく弾は撃てるんだけど。操作も前には進んでるが「スターフォース」のように上下左右でわかりやすく動かない。
そうこうしているうちに、敵戦闘機に撃ち落とされてしまうのですが、ダメージ100を超えた瞬間、海が真っ赤になり、あの上がり調子の警告音です。更に自機のヘリがフラフラと操縦不能になりついには爆発。幼心としてはもう「怖い…」これだけでしたね。
夕飯を食べて「スターフォース」をやっていると、父が部屋に来て「バンゲリングベイをやらせてくれ」と来たので、いったいどこがそんなに面白いのかと思いながら横で見てました。そのプレイはすごかったですね。昼間自分がやった時とはうってかわって自機のヘリを自在に操りながら広大なマップを進んでいきます。
マップに点在する敵砲台を蹴散らして工場の上で静止。ひたすらBボタンで爆弾を投下して工場撃破。そしてまた空母に戻り…を繰り返していきます。
華麗に親父が動かして攻略していくさまを見ると、なんだかカッコよく見えましたね。これが俗に言う「高橋名人のように、ゲームを華麗にこなす大人への憧れ」みたいなもんだったんでしょう。
そこからボクの「バンゲリングベイ」のプレイが始まりました。
同じゲームを一緒にプレイする父親心からか、操作から目的まで親切丁寧に教えてくれました。
まず覚えるのは
- 自機はラジコン操作
- 空母は自機のダメージ回復(修理)と弾の補給
- 画面下の矢印『⬆︎』は空母の位置
この3つを覚えれば遊べるぞということでいざプレイ。
ちなみに「ラジコン操作」という説明は的確でした。1980年代…当時は大人も子供も外の遊びとしてラジコンが流行っていたため、変に上ボタンが前進で左右ボタンが旋回…などと教える大人はいませんでしたね。現代の若年層が操作がわからないというのはココから来ています。
さて、飛べるようになったら攻撃と行きたいところですが、上の3つの操作になれるまで親父に指導されました。これが理解できないといざ敵との戦闘になったときにすぐやられてしまうからとのこと。なによりもこのゲームを理解するには、攻撃よりもその広大なマップに慣れることが全てだったのです。
見ての通り、このゲームのマップの広さは自軍の空母を中心として縦10画面x横10画面の全100画面の広さがあるのです。しかも自軍の空母も常に前進しているためいつも同じところに停滞しているわけではありません。つまり、自機のヘリがどこにいても補給や修理のために、確実に自軍の空母まで戻ってこれるかがこのゲーム攻略の基本になるわけですね。
そのことを伝えるために、親父は自動車教習所の教員が如く、まず好きに移動させて「よし!空母にもどれ」というのをひたすらやらされました。
ちょっと長くなったので、続きは次回。
次回はいよいよ敵軍との攻撃準備についての体験談です。